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2024年7月5日 オーストリア・ヨーロッパ関連
シュバルツバルド自然公園を訪ねて
6月に行ったKWF-Tagung2024森林林業木材産業関連視察研修でドイツのシュバルツバルド自然公園(黒い森)を訪ねました。
https://treetop-walks.com/schwarzwald/en/
黒い森は南北約200㎞、東西40㎞。グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」の舞台とも言われ、モミやトウヒの針葉樹が密集しているため黒く見えるので黒い森と言われるようになったと言われています。その歴史はローマ帝国に遡り、薄気味悪く思ったのかローマ人は迂回していたと今回ガイドのマーティンさんからお聞きしました。現在、マーティンさんのような黒い森のガイドは80人ほどいるそうです。
黒い森は太古の昔、砂漠だったために土壌が砂岩で雨量が多いわりには水不足になりやすいので農業には向いておらず、林業で稼ぐようになったと言われています。ただ、木の生長も遅いので楽器に向いているということでした。
今回、私たちはTree Top Walk(樹冠道)を歩きながらガイドのマーティンさん、Tree Top Walkを建設したウォルフガングさんのお二人からお話を伺いました。
普段見られない樹を上から見ることの出来るTree Top Walkはドイツのオーストリアに近い南のバイエルン地方の会社が総工費約450万ユーロで4ヶ月かけて建設、2014年に竣工しました。30m置きの柱材は地元のカラマツ、床材はカナダから輸入されたダグラスファーです。ダグラスファーが使われた理由は柔らかく、屋外に適しているからと言うことでした。
黒い森は今でこそモミ、トウヒ、ブナなどに覆われていますが、アムステルダムの埋め立てに杭として使われたり、薪炭や鉱業地帯であるアルザス・ロレーヌ地方が近いことから鉄鋼業の窯の火を焚くために使われ禿山になったことがありました。19世紀以降牧場経営を禁止する法律が出来たことなどからトウヒを植えて再生しましたが、第二次大戦でドイツが敗れフランスへの賠償金支払いのため再びフランスに近いところは禿山になったと言うことでした。
黒い森で多く見られるモミとトウヒの違いをお聞きし、その違いを目で見て体感してきました。モミは葉の先が丸く枝から直接出ています。ぼっくりは紫いろで4‐6年に一度樹の上に上向きでなり地上に落下するころにはぼっくりの形は崩れてしまっています。そのぼっくりをTop Tree Walkでは見ることが出来ます。また、根が深く6mほどに達しているそうです。
トウヒは葉の先が痛いほど鋭く、台があります。ぼっくりはそのまま地上に落下するのでその姿形をみることが出来ます。高さ40-50mほどになりますが、根が30‐40㎝ほどしか張らないので水が不足すると枯れてしまいます。1999年のクリスマスの翌日に強風が吹き荒れかなりの規模で風倒木が発生したと言うことです。
私たちはその根の深さを体感しました。Top Tree Walkのすぐ横に生えているトウヒを私が指で押したところグラグラと簡単に揺らすことが出来ました。高さ15mほどのところで押すと揺らすことが出来るそうです。
ヨーロッパではキクイムシの被害が年々深刻化しており、Top Tree Walkの周りでも被害木が見受けられました。モミは樹の先端から枯れ始め、その姿が魔女のホウキと言われているそうです。
Top Tree Walk の終点にはループになった塔があります。CLTで出来たこの塔は柱を斜めにすることで倒れない構造となっています。内部にはスライダーがあり一気に滑り降りることが出来ます。
黒い森と言えばBlack Forest Cakeが有名です。中世の時代、貧しかったこの地域にストラスブールの司教がサクランボでお酒を造る許可を与えたことからサクランボの産地となったのが始まりだと言われているそうです。その名物Black Forest Cakeを堪能しました。最初はその大きさに驚きましたが、甘さが控え目であっさりと平らげることが出来ました。
目で見て、耳で聞いて、舌で味わって体感したシュバルツバルド自然公園の一日でした。ガイドのマーティンさん、ウォルフガングさん、ありがとうございました。
前田 多恵子
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