よろしく!前田林業㈱です[山林 No.1385]平成11年10月5日発行


前田林業㈱は私の祖父である前田熊太郎が創設いたしました。祖父は現神戸市北区淡河の商家の次男として生まれ、新宅創設時に曾祖父の隠居先であった現伊丹市に新居を築きました。それが前田林業㈱の現在の本社所在地です。もともと、祖父は森林経営者だっだわけでわありません。大阪の北浜で「前熊商店」という証券会社を経営していました。その前熊商店が昭和8年に、株式の担保として預かった現奈良県の森林を取得したことがきっかけで山林部を創設、これが前田林業㈱の前身となりました。5年後の昭和13年には同県野迫川村の森林を購入し、現地に製材所と木工工場を建設し、前田林業㈱が誕生しました。当時は主伐が主体で、木工工場では紡績の糸巻を生産していました。

第2次大戦時下、合板製飛行機製造のためという理由で軍に買収され、現奈良県御杖村、現岡山県加茂町、同西粟倉村の森林を購入しました。その後、御杖村は農地買収となり、現三重県白山町の森林との買い換えを余儀なくされました。そして今から約10年ほど前に和歌山県清水町の森林を購入し、現在では約500haを経営しています。戦後の一時期は立木を購入し、伐出主体の事業も行っていましたが、昭和25年頃、伐採跡地に植林をしない場合は林地を没収という話があり手を引きました。

現社長が引き継いだ後は良質材生産を目指し、昭和45年にはヘリコプターによる幼齢木への肥料散布を試み、高さ約10mまでの枝打ちを行って除伐を行いました。また、順次作業道も開設し、現在ではha当たり41mとなっています。現在は大径木生産、100年伐期施業ということで利用間伐主体の事業を行っています。

近い将来引き継ぐ三代目は、先々代からの森林をどのように動かしていこうかと現在、試案の毎日を送っています。

 

『山林 No.1385』
大日本山林会
平成11年10月5日発行