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2015年11月16日 オーストリア・ヨーロッパ関連
進化するオーストリア林業 オーストリア森林フォーラムin長野
10月5日オーストリア森林フォーラムin長野がホテルメトロポリタン長野で開催されました。当日は訪日中のアンドレー・ルップレヒターオーストリア農林環境水資源管理大臣や今井敏林野庁長官の基調講演、オーストリアの専門家による講演、オーストリアの林業・バイオマス関連企業の展示が行われ、約500人が来場しました。
オーストリアの専門家が来日し講演しました。その中の一つにカール・スタンファー/ウィーン農業大学(BOKU)教授の「架線技術、森林管理、林業技術」の講演がありました。カール・スタンファー教授は現場第一主義で実用的な研究をされています。
スタンファー教授が森林開発(施業)において重要な点だと強調されたのは ① 林道・作業道の開発と ② 人材の育成の2点です。
スタンファー教授が授業で学生に「手入れの行き届いた森林があるが、そこにある材を出すにはまずどうしたらいいか?」と質問すると、多くの学生は「まずは林道・作業道を開設すること」と答えるそうです。しかし、スタンファー教授は「長期的な視野に立ってどういう方法で搬出するのか、タワーヤーダなのか車両系なのかをまず考えて、それを決めてから適した作業道や林道を計画しなければ効率は上がらない」と力説されました。日本でもよく「うちの地域は道がないからこの作業システムは入れられない」と言うことを耳にします。でも、スタンファー教授の話から考えると作業システムが決まらないところには道も決まらないということになります。日本はついつい短期的に考えてその場しのぎの作業道を開設してしまいがちですが、もっと長期的視野に立って作業道には投資すべきなのかもしれません。
そのオーストリアの作業道の概要です。
オーストリアの作業道の幅の平均 : 3.5m
オーストリアの作業道の開設費用の平均 : 38€/m 内10%が設計監督費用 90%が開設費用
オーストリアで助成金によって整備される林道・作業道は全体の30-40% EUの規程に基づき個人の場合は費用の30% 共同の場合は費用の35%を助成(2016年より引き上げ方針)
※オーストリアでは国家資格所有者のみ林道・作業道の開設計画をすることが可能
スタンファー教授が次に紹介されたのは機械の進歩により最近オーストリアで取り組みが始まった35度〜37度ぐらいの傾斜地でのケーブル式ハーベスタやフォワーダでの伐木と集材システムです。何トンもある重たい機械が林地に入れば、その重みだけで林地が荒れそうですが、物理的に考えると力は分散するので意外と林地への影響は抑えられるそうです。チェーンソーとタワーヤーダとの組み合わせより5-10€コスト削減が可能だとスタンファー教授は述べています。そして何よりも注目すべき点は事故発生率の大幅な低減です。オーストリアでも日本と同じで伐木時の事故発生の多さは問題であり、その削減は重要課題の一つでした。
写真の表によるとチェーンソーで伐倒⇒架線集材⇒プロセッサによる造材よりもケーブル式ハーベスタによる伐採⇒ケーブル式フォワーダでの集材の方が100万㎥当たりの事故発生率が14分の1に減少しています。また生産性も著しく上がっています。ただし、ケーブル式ハーベスタとフォワーダは活用出来る林地の斜度に限界があるため、導入可能な林地とそうでない林地を色分けしてどの程度活用できるのか見極める必要があります。
オーストリアは日本に比べ雨量は少ないですが、局地的に豪雨に見舞われるのは同じであり林道・作業道を長持ちさせるためには排水がポイントであるとスタンファー教授は述べられています。オーストリアでは林道・作業道はかまぼこ型にするのが通常であり、山側から谷側への排水は高低差8mごとに1回、傾斜をつけて排水パイプを使って行われるのが一般的だそうです。
そしていつも大事なことは何事も作業が出来る人材がいなければ実現は不可能であり、技術と知識を兼ね備えた人材を育成することが必要であるとスタンファー教授は強調して講演を締めくくられました。
カール・スタンファー教授の講演資料は下記からご入手いただけます。
http://sanyo-trade.com/files/20151105StampferJP.pdf
その他の講演についてはオーストリア大使館商務部のホームページをご覧ください。
http://www.advantageaustria.org/jp/events/20151105_Austrian_Forest_Forum_in_Nagano.ja.html