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2015年6月12日 オーストリア・ヨーロッパ関連
視察先紹介~森林組合森林所有者協会スタイアーマルク州支部
オーストリアの森林組合とも言われるWald ver Band森林所有者協会。各地方に支部がありますが、今回はその中でも林業が盛んなスタイアーマルク州支部を視察する予定です。
スタイアーマルク州は州の60%が森林に覆われており、その58%がスプルースです。古くから原材料として、またエネルギー源として森林が利用されてきました。303百万㎥の森林蓄積があり、毎年8.2百万㎥の森林生長量があります。その内、毎年約5.05百万㎥の立木が伐採され以下のように利用されています。
製材用 2.90百万(57.49%)
工業用 1.08百万(21.46%) ボード、合板など
エネルギー用 1.06百万(21.05%)
作業システムは以下のようになっています。
【伐倒】
ハーベスタ 0.7百万㎥
チェーンソー 4.36百万㎥
【集材】
トラクター&スキッダー 2.5百万㎥
架線 1.4百万㎥
フォワーダー 1.1百万㎥
その他 0.9百万㎥
スタイアーマルク州は他のオーストリアの地方に比べ傾斜がきついので、ハーベスタによる伐倒比率が低く、路網密度が高くなっており55m/haあります。日本と違って幅の広い作業道を想像する方も多いと思いますが、幅2-3mの作業道が約54%、幅3-5mの作業道が41%です。意外と幅が狭い作業道も多いようです。また作業道以外にもスキッダー専用の道も約34,000km入っています。
近年伐採量に大きな変化はありませんが、価格は下記のグラフのように上昇傾向にあります。(2008年は風倒被害により価格が暴落)
スタイアーマルク州の森林の55%以上が200ha以下の小規模と言われる所有者が所有しており、オーストリアでも小規模所有者は天気や木材価格がいい時、資金が必要な時に伐採していました。そのため、年間伐採計画を立て、販売計画を立てる大規模所有者と5%以上の収入で差がありました。
そこで長い時間をかけてWald ver Band森林所有者協会は丸太の販売に力を注ぎシステムを構築しました。今では13,000人の会員から年間1百万㎥の立木を買い受け販売しています。また協会が経営しているバイオマストレードセンターはバイオマスの製造と供給に大きな役割を果たしています。会員の立木は以下のような流れで行われます。
1.立木を販売したい会員は年間、月間などで伐採量を協会へ届出
2.協会は届け出られた数量をまとめ解析し製材会社などと供給契約を締結
3.協会は会員と売買契約を締結
4.協会が素材生産業者を手配
5.伐採範囲、伐採量、伐採時期、支払い条件などを盛り込んだ合法的な契約書を森林所有者と素材生産業者が締結
6.会員は輸送準備が出来た時点で協会へ連絡
7.協会が運送会社を手配
8.品質と数量が明記された受領書を製材会社などが発行
9.この受領書を基に素材生産業者宛、運送業者宛など各種請求書を作成、支払いが完了
もちろん課題がないわけではありません。
1、それぞれの役目の相互間の協力体制が弱い
2、小規模所有者の計画能力が低い
3、製材会社の輸送会社へのコストダウンの圧力がある
4、情報の不確かさ
などなど日本と同じような問題をオーストリアも抱えているようです。
Special Thanks; Mr. Handlos(Wald ver Band Steiermark)