2018年5月25日 オーストリア・ヨーロッパ関連

2018年春オーストリア視察報告　ピラミッドコーゲル＆G3 Shopping Resortなどなど

2018年3月26日～30日　兵庫県議会自民党林業振興議員連盟のオーストリア林業・木材産業視察研修のコーディネーターとして、ジンメリングバイオマス発電所、ブルック森林技術専門学校、マイヤー・メルンホフ社　社有林、世界で一番高い木造展望台ピラミッドコーゲルをご案内してきました。

ピラミッドコーゲル

今回の視察で最後に訪れたのはケルンテン州ヴェルター湖畔にある世界一高い木造展望塔ピラミッドコーゲルPyramidenkogelでした。この展望塔は現在のものが3代目で、1950年に初代が木造で建設されました。初代展望塔は高さが27mでした。その後、老朽化のため1969年に2代目の鉄筋コンクリート造の展望塔が再建されました。この2代目展望塔の高さは54mで、建て替えらえる度に高さが約2倍になっています。展望塔の変遷がまとめられた動画があり、2代目展望塔の根本が爆破され倒壊する様子は見ごたえがあり、3代目展望塔建築風景も見ることが出来ます。

http://www.pyramidenkogel.info/videos/geschichte-video/

お時間の許す方はご覧下さい。

この地域の木材のみを利用して建設された展望塔は、主要構造となる16本の集成材と、それをつなげる10の楕円形のリング、補強する80本の斜めの支柱から成っています。2代目展望塔が老朽化した際に修繕案が出されましたが、その修繕にかかる費用と木造で建設する場合の費用がほぼ同額であったことから3代目の展望塔を建設する選択がなされました。ちなみに総工費は約10億円でした。

この展望塔は内部がらせん状の滑り台になっており、長さ約50m、平均斜度25度を約20〜25秒で滑り下りることができ、子供から大人まで楽しめます。「ふん！滑り台なんて子供だましなもん。」とお思いの方、童心に帰る貴重なチャンスだと思って是非滑ってみて下さい。なかなか滑り応えのある滑り台で侮れません。

当初は年間約20万人の来場者を見込んでいましたが、残念ながら目標を現在は下回り年間約15万人が訪れ風光明媚なヴェルター湖や遠くに見えるアルプスの眺めを楽しんでいます。それでも展望塔の麓の町の存続すら危ぶまれていたホテルやレストランには客足が増えているそうです。

番外編　G3 shopping Resort

ウィーンからアポなし、公共交通機関で行けるCLT造の大型ショッピングモールに兵庫県議会自民党林業振興議員連盟の皆様を日本に見送った後に一人で見学に行ってきました。約2億€と約3年の歳月をかけて建設されたこの大型ショッピングモールは2012年秋にオープンし、約70,000㎡の店舗面積にCLT材8,000㎥と集成材3,500㎥が使われています。

ウィーンの郊外の田園地帯にあります。

美しく屈曲した屋根にCLT材が使用されています。

平日でイースター休暇前だからか店内は静かでした。ちょっと淋しい。。。

約３日と言う短期間ではありましたが林業の作業現場、森林にかかわる人たちの教育の現場、バイオマス発電、木造建築物とオーストリアの森林・林業・木材産業を一通り駆け足で巡ったオーストリア視察研修でした。熱心に話に耳を傾けられ、時にはするどい質問をされ、ひと言も聞き逃さず忘れまいとメモをされている兵庫県議会自民党林業振興議員連盟の先生方の姿が印象的でした。今回の経験が兵庫県の森林・林業・木材産業の発展につながれば企画、運営に携わった者としてこれ以上のことはありません。

兵庫県議会自民党林業振興議員連盟の先生方

前田多恵子

※オーストリアの森林・林業・木材産業の視察研修の企画・運営をいたします。

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