【残席14名】視察先紹介〜世界最大の林業展KWF-Tagung 後編〜


❇❇セッション: 植栽❇❇

成熟期を迎えた日本の人工林が次に迎えるステージは皆伐と植栽です。その次のステージを考えて最近急速にコンテナ苗の育成の研究や取り組みが高まっています。弊社が販売しているオーストリア・Lieco社製コンテナ苗用容器や植栽器具への問い合わせもここにきて有りがたいことに増えています。

 

自然更新のイメージが強いヨーロッパですが、実は植栽も多く行われています。コンテナ苗の大規模生産・販売会社であるLieco社がオーストリアで年間販売するコンテナ苗は700万苗でオーストリアのシェアの21%を占めています。そのことから考えるとオーストリアでは年間約3,500万苗が植栽されているということになります。これをha当たり3,500本植えたとすると年間約10,000ヘクタールに苗が植栽されたことになります。日本では苗を都道府県を超えて移動する(植える)ことは奨励されていません(禁止されている)が、オーストリアでも植栽出来る苗について科学的研究に基づいて地域や標高など図のように細かく区画が分けられて規制されています。

 

ヨーロッパでも獣害は重要な問題です。せっかく植栽した苗を食べられないようにネットで区画を囲んだり、苗に保護する物を被せたりと獣害から如何にして苗を守るかの研究や商品開発が進められています。

種の範囲

 

ブナや針葉樹の植栽

1.1植栽地

 

獣害対策

1.2獣害対策 獣害対策

 

❇❇セッション : 育林❇❇

法正林化されているヨーロッパでは様々な林齢の林分があります。その中でも幼齢木の林分の手入れについて紹介するセッションです。日本ではまだ発売されていないハスクバーナ社製のスペンサーによる除伐の紹介をしています。

スペンサーを使った幼齢木の手入れの導入

除伐

チェーンソーと違って屈まなくていいのと刃先が体から離れているので切創事故の軽減につながります。

 

若齢林における機械による除伐

2.2幼齢林の全機械化による手入れ

 

❇❇セッション : エネルギー用木材収穫システム❇❇

日本でも木質系バイオマス発電所が次々に稼働を始めました。今後既存の需要と共存しながらエネルギー用木材が安定的かつ永続的に供給されるためにはどうしたらいいのか?いち早く電力買い取り制度を導入したドイツやバイオマス先進国オーストリアの取り組みに学びます。

3.5.2エネルギー用木材収穫2 3.5.2エネルギー用木材収穫3 チップ

 

 ❇❇セッション : 軟弱地盤での走行❇❇

水はけの悪い土壌地域や大雨や雪解けなど自然による地盤の緩み、路面の凍結などで大型の林業機械が走行出来なくなる、走行が困難になる場合があります。また大型の林業機械による土壌の攪乱など機械化による課題を抱えているのは日本だけでなくヨーロッパも同じです。その課題への最新の取組を紹介するセッションです。

 

収穫プロセスの中での路面保護

4.1.1収穫時の各プロセスにおける土壌の保護2 4.1.1収穫時の各プロセスにおける土壌の保護

 

車両接地圧力実験結果

4.1.2車両の接地圧力

 

進歩した土壌保護と林業機械用スキッダーコースの走行性に対する自動車輪荷重コントロール”RaLaRe”

RalaRe

 

4.1.3進歩した土壌保護と林業機械の作業道の走行性のための自動タイヤコントロール

 

轍走行

泥道のフォワーダ

牽引ケーブルウィンチの補助的機能

林地内で走行する林業機械を牽引するワイヤーを補助するウィンチ

ウィンチ

 

 ❇❇セッション : 労働安全❇❇

伐倒中、集材中、森林内で作業中に思わぬ事故が発生します。その事故は時には命を奪い、人生を奪っていきます。森林内で事故が起きたらどうすればいいのか?その救助について紹介しています。

4.2.1森林における早急な救助

 

❇❇セッション : ロジスティックス❇❇

日本と違って市場を介さず直接製材会社、木材加工会社などと取り引きすることが多いヨーロッパでは、木取りや仕分け、その時一番高く買い取ってくれる会社の選択、買い取り会社との契約条件が収入に影響します。少しでも有利に取引するための木材の分類方法、、生産している木材のハーベスタ造材時での情報収集、契約条件の合意、そのための情報収集に必要な写真光学やドローンなどの最新技術を紹介しています。

4.3.1原木の分類、測定基準のために導入する技術一般的な生木取引合意、写真光学、ドローン技術4.3.2品質保証のためのハーベスタ上の調節するハーベスタ測定

 

 ❇❇セッション:森林の情報収集❇❇

森林を管理、経営するためには森林に関する情報、面積、樹種、林齢、境界、立木密度、材積量、作業道の状況を正確に把握する必要があります。その情報を収集するためのレーザー測量、GPSシステムの活用、走行するだけで作業道の状況が調査出来る機能を紹介しています。

4.4.1レーザー測量システム4.4.2GPS作業道計画とドキュメント4.4.5自動化された作業道状況調査4.4.3作業道管理

 

❇❇セッション :  職業訓練❇❇

ハーベスタのシュミレーターを使いながらの訓練コースを紹介しています。

4.5.1Harvester_forwarder_Simulator

 

シュミレーターの動画サイトhttps://youtu.be/94fo0TtxRjo

 

前編と後編とにわけてご紹介した世界最大の林業展KWF-Tagung。海外の林業展と言うと大型の機械の展示ばかりと思われがちですが、林業の様々な作業場面を考え、それぞれに特化した企業や団体が自社の最新の機械、技術、商品などを紹介する機会となっています。弊社ではこのKWF-Tagungを視察する4【世界最大の林業展inドイツ&オーストリア最新の林業視察研修】の参加者を募集しています。4年に一度という貴重な機会です。この絶好の機会を見逃すことなく視察し、地域の林業に役立てていただければと思います。

詳細は下記URlからご覧下さい。

http://sanyo-trade.com/news/tourkwfandaustria-3/1787/